佐賀知事「再稼働容認の声を」 説明会前、九電に
九州電力の玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の運転再開を巡る「やらせメール」問題で、佐賀県の古川康知事は30日、記者会見し、運転再開へ向けた国主催の説明会の直前、九電で原子力部門を統括する前副社長(6月末に退任)らと面会し「原発再稼働を容認する意見が経済界にあるなら、その声を表に出すことも必要だ」などと伝えたことを明らかにした。
九電の社内調査によると、面会した当日のうちに前副社長らが相談、翌日には部下に「説明会の周知」を指示していた。メール問題の原因究明などにあたる九電の第三者委員会の郷原信郎委員長は30日夜、記者会見し「知事の発言が結果としてやらせメールの引き金になった可能性は十分ある」と述べた。第三者委は詳しい調査を進める。
古川知事は記者会見で「再稼働を促すつもりはなかったが、当時の原発責任者への発言としては軽率だった」と釈明。「やらせメールへの影響はなかったと思っている」とした。
古川知事によると、6月26日の説明会を5日後に控えた同21日午前、退任のあいさつに訪れた前副社長らと知事公舎で面会。前取締役原子力発電本部長(6月末で退任)と佐賀支店長(現支社長)も同席したという。
郷原委員長によると、面会後に佐賀支店長が作成したメモには「ネットを通じて(再稼働)賛成の意見も集まるようにしてほしい」との趣旨の知事発言が記してあった。
九電の社内調査によると、前副社長ら3人は知事との面会後、昼食の際に相談し「運転再開に賛成する意見の投稿を増やすことが必要」との認識を共有。翌22日、前副社長らは説明会で賛成意見を増やすために「説明会の周知」を部下に指示、関係者に「やらせメール」の依頼がなされた。
メール問題では、前副社長などの指示で課長級社員らが説明会に「再開賛成」の意見を送るように関係者に依頼、計141人が投稿していたことが分かっている。
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