視点:日本は「協調組合主義」と決別を=フェルプス氏

視点:日本は「協調組合主義」と決別を=フェルプス氏
 1月19日、ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学教授のエドマンド・フェルプス氏は、日本が再び繁栄するためには、コーポラティスト(協調組合主義)的な価値観との決別と、草の根レベルのイノベーションを促すダイナミズム構築が不可欠だと指摘。写真は2006年10月に米ニューヨークで撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)
エドマンド・フェルプス コロンビア大学教授/ノーベル経済学賞受賞者
[東京 19日] - ノーベル経済学賞受賞者で米コロンビア大学教授のエドマンド・フェルプス氏は、日本が再び繁栄するためには、コーポラティスト(協調組合主義)的な価値観との決別と、草の根レベルのイノベーションを促すダイナミズム構築が不可欠だと指摘する。
同氏の見解は以下の通り。
<コーポラティスト的価値観が阻む自己変革>
日本経済が有する問題は、あまりに強いコーポラティスト(協調組合主義)的な価値観に基づいて発展してきたことである。それは、諸制度を形づくり、今もまだ行動を左右し続けている。
コーポラティスト的な価値観を打ち破らずして、日本が自己を変革できるとは私には思えない。このコーポラティスト的な価値観には、家族のつながりや利害関係の持ち方、物質主義、順応主義、社会的保護などが含まれる。
草の根レベルのイノベーションの浸透に必要なダイナミズムが構築されて初めて、日本は繁栄できるだろう。
*エドマンド・フェルプス氏は、米コロンビア大学教授で、同大学の「資本主義・社会センター」所長。インフレ率と失業率との関係に関する一連の研究で、2006年にノーベル経済学賞を受賞。1976年にノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマン氏(2006年死去)とほぼ同時期に、自然失業率仮説を提唱したことでも知られる。1933年、米イリノイ州エバンストン生まれ。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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