ゆうゆうLife

読者から 延命治療で永らえた母だが…

 大阪府 匿名希望(71)

 四国に住んでいた母は一昨年95歳のとき、脳梗塞(こうそく)で危篤といわれました。医師に「1週間のうちでしょう。胃ろうはしますか?」と聞かれ、姉も私も「しないでください」と伝えました。2日目、少し目を開けたので、先生から「ちょっとだけ鼻から栄養を入れてみましょうか」と言われ、お任せしました。

 母は持ち直し、鼻腔栄養のまま、1人暮らしの72歳の姉が引き取ることになりました。毎日朝夕2回ヘルパーさんがオムツ交換に来て、週2回お風呂に入れに来て、看護師さんが来て、お医者さんが来ました。本人負担は1割ですが、介護保険や医療保険からずいぶんの費用が支払われたわけです。元気になれるならよいですが、母が喜んでいたとは思えません。

 私は遠隔地に住んでおり、月に3~4日を泊まり込みで手伝いに行くのがやっとでした。1人で介護していた姉は鬱状態になり、母は最後の3~4カ月は入院しました。先生も「申し訳ありません。こんなに長生きするとは思っていませんでした」と言われました。先生にも残りの人生が分からないのだと知りました。栄養補給をやめようとしましたが、ときどき意識があったり、笑っているようなこともあり、チューブを抜くことは死なせることだと思うと、できませんでした。結局、1年8カ月生きました。先生が悪かったとは思いませんし、母には長生きしてほしかったと思います。しかし、この延命治療は誰のためだったのか、脳梗塞で危篤と言われたときが一番よい終わり方だった気がします。

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