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《櫻井ジャーナル》

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2014.04.26
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 アメリカ政府が異常なほどロシアのメディアを嫌い、4月24日にはジョン・ケリー国務長官がロシア・トゥディ(RT)を名指しで批判、あるいは中傷している。それだけバラク・オバマ政権は情報統制が崩れていることに危機感を持っているわけだ。そうした中、キエフのクーデター政権は意に沿わぬメディアに対して暴力的な手段を使いはじめている。

 ウクライナの東部や南部に多い反クーデター政権派を制圧する作戦をアルセン・アバコフ内相代行が始める直前、ロシア人ジャーナリストのウクライナ入国が拒否されているという情報が流れ、入国済みの人びとは拘束され始めた。最近では、ドネツクで住民から話を聞いていたライフニューズ(ロシアのテレビ局)のスタッフが連れ去られている。住民の話では、キエフのクーデター政権が派遣したSBU(ウクライナ治安局)と軍の部隊が拘束したのだという。

 ケリーに言わせると、RTはウラジミール・プーチン露大統領の主張を広めるプロパガンダの拡声器なのだというが、これまで明らかになった偽情報の出所はアメリカ/NATOであり、ホワイトハウスの主張を広めるプロパガンダの拡声器、つまり「西側」の巨大資本にコントロールされた有力メディアは重要な情報を無視してきた。

 最近の例では、ウクライナの東部や南部を武力制圧する口実としてロシア軍の特殊部隊が活動しているという話をアメリカ国民に信じさせるため、ニューヨーク・タイムズ紙は4月20日付けの紙面に「証拠写真」を掲載した。

 前にも書いたが、その写真は「西側」の一員であるBBCにまで批判される代物。ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された写真は解像度が悪くて見にくいのだが、鮮明な写真も存在、それを見れば同紙の主張を信じる人はいないだろう。だからこそ、解像度を下げたとしか思えない。つまり、読者をミスリードするための意図的な行為。イラクへの軍事侵攻を正当化するために活躍した同紙のジュディス・ミラー記者を思い出すという人もいる。

 それ以外にも、例えば、ビクトリア・ヌランド米国務次官補の演説、電話での謀議、エストニアのウルマス・パエト外相のキャサリン・アシュトンEU外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)に対する報告などを「西側」のメディアは無視してきた。これらを取り上げると、ウクライナを不安定化させているのがアメリカ政府だということが明確になってしまうからだ。

 昔から「西側」の有力メディアは支配層のプロパガンダ機関として機能してきた。第2次世界大戦後、アレン・ダレス、フランク・ウィズナー、リチャード・ヘルムズ、そしてフィリップ・グラハムを中心として情報操作プロジェクトが始まったことは本ブログでも何度か取り上げた。いわゆる「モッキンバード」だ。

 ダレスはウォール街の大物弁護士で、大戦中にはOSS(戦略情報局)で破壊活動を指揮し、戦後はCIAを支配していた人物。兄のジョン・フォスター・ダレスもウォール街の大物弁護士で、国務長官を務めている。

 ウィズナーもウォール街の弁護士で、ダレスの側近。大戦後、破壊/テロ活動を目的として設立された極秘機関のOPCを指揮していた。ヘルムズもダレスの側近で、後にCIA長官になる。そしてグラハムはワシントン・ポスト紙の社主だった。

 ウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだワシントン・ポスト紙を「言論の自由」を象徴する存在だとして崇める人も少なくないようだが、実態は支配層のプロパガンダ機関にすぎない。

 このプロジェクトにはCBSのウィリアム・ペイリー社長、タイム誌やライフ誌を発行していたヘンリー・ルース、ニューヨーク・タイムズ紙の発行人だったアーサー・シュルツバーガー、クリスチャン・サイエンス・モニターの編集者だったジョセフ・ハリソン、そしてジョン・F・ケネディ大統領暗殺の瞬間を撮影した8ミリ・フィルム、いわゆる「ザプルーダー・フィルム」を買い取り、隠したC・D・ジャクソンも協力していた。

 ワシントン・ポスト紙の記者としてウォーターゲート事件を調べたひとり、カール・バーンスタインは1977年に同紙を辞め、「CIAとメディア」というタイトルの記事をローリング・ストーン誌に載せている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)

 その記事によると、400名以上のジャーナリストがCIAのために働いていたようだ。また、1950年から66年にかけての期間、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIA高官は語ったという。CIAは1970年代の後半からメディア対策を強化しているので、CIAの影響下にある記者や編集者は大幅に増えているだろう。

 21世紀に入ると有力メディアは露骨に偽情報を流すようになる。そうした状況が明確になったのは、アメリカやイギリスがイラクに軍事侵攻するとき。そのときからメディアへの信頼度は急速に低下していく。

 そうした中、注目を集めたのがカタールのアル・ジャジーラだが、カタールも体制転覆プロジェクトに参加したリビアやシリアでは「西側」のメディアと同じような「戦意高揚機関」になって見放されていく。そして今、企業メディアが無視している少数派の意見、巨大企業にとって都合の悪い情報を伝えているのがロシアのメディア。そのロシアのメディアにケリー国務長官が苛立っているということは、それだけ影響力が強まっている、つまり「西側」で信頼されるようになってきたということだろう。

 アメリカの元外交官、クリストファー・ヒルは現在のロシアについて、「新世界秩序」への「裏切り」だと批判している。1990年にアメリカのジェームズ・ベイカー国務長官はNATOを東へ拡大させることはないとソ連のエドゥアルド・シュワルナゼ外相に約束したのだが、この約束を守っていない。つまり、裏切ったのはアメリカだ。

 アメリカの約束を真に受けた間抜けなソ連の大統領はミハイル・ゴルバチョフ。このゴルバチョフからクーデターで実権を奪ったのがボリス・エリツィン。この人物とアメリカは「新世界秩序」について約束していたのかもしれない。その新秩序とはアングロ・サクソンを中心とする欧米が世界を支配する体制、ある人に言わせると巨大資本が支配する「新封建主義」、あるいは「近代封建主義」。その新体制の樹立をロシアは妨害しているということのようだ。勿論、TPPもそうした計画の一環である。





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最終更新日  2014.04.27 00:38:36



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