日本旅行医学会

-旅行医学豆知識- 第5回 熱中症に注意!

熱中症とは高温の環境下で体内に熱がこもって起きる熱障害のことで、重症度別に以下の3つに分類されています。

分類 症状 対処法
Ⅰ度(軽症) めまい、立ちくらみ
筋肉の痙攣、こむら返りなど
日陰で休む
水分補給
Ⅱ度(中等症) 吐き気、めまい、寒気
強い疲労感など
病院での輸液
Ⅲ度(重症) 意識障害、高熱
肝・腎機能障害など
専門施設での
入院治療

予防するには

 帽子や日傘などで直射日光を避け、薄手の長袖、長ズボンを着用してください。街中でも照り返しなどによって天気予報の最高気温を大きく上回る所がたくさんあります。汗とともに塩分も失われるため、水分だけでなく、スポーツドリンクや塩味のクラッカーなどで塩分も補給することが大切です。
  屋内でも注意が必要です。人は汗をかいて体温調整をしますが、日本での死亡例の多くが室内で起きていることからもわかるとおり、エアコンや扇風機の無い高温多湿、無風状態の室内に長くいると、発汗機能の異状から体温調節が出来なくなり、熱中症を発症します。風通しを良くしたり、扇風機やエアコンを効果的に利用して下さい。

かかりやすい人

  子どもと高齢者は体内にある水分の予備量が少なく、熱中症にかかりやすいので特に注意が必要です。特に子どもは自分から症状を訴えることが少ないので、保護者が十分に注意する必要があります。
  暑さに慣れていない人も熱中症にかかりやすく、暑さに対する体の適応は、温度の変化よりも遅れるため、暑くなりはじめの時期に熱中症の発生が多くなります。

かかってしまったら

  屋内外問わず、熱中症の症状が見られたら、風通しの良い涼しい場所に運び、衣類をゆるめて楽な姿勢で寝かせ、濡れタオルを額や首筋に当てる、あおいで風を送るなどしてください。皮膚が冷たい、震えがあるといった場合は乾いたタオルで皮膚マッサージを。顔面蒼白で脈が弱ければ、足を高くしましょう。意識があり、吐き気が無ければスポーツドリンクや薄い食塩水などを飲ませます。それでも症状が治らなければできるだけ早く病院に搬送して下さい。また、応答が鈍い、言動がおかしいなど少しでも意識障害がある場合には重症を疑い、すぐに病院へ搬送してください。


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